「肝胆膵消化器病学」は横浜市立大学附属病院の消化器内科部門です

B型肝炎、C型肝炎


B型肝炎、C型肝炎とは

B型肝炎ウイルスあるいはC型肝炎ウイルスの感染が原因となり、肝臓の細胞に炎症が起き、細胞が壊される病気です。日本では毎年3万人以上の方が肝細胞癌で死亡されていますが、B型肝炎、C型肝炎はその原因の約8割を占め、最大の要因となっています。肝炎対策基本法では、国民は一生に一度は肝炎ウイルス検査を国の援助のもと受けることが可能であり、陽性であった場合には医療機関を受診することが勧められています。

新しい抗ウイルス治療

C型肝炎の抗ウイルス治療は、近年目覚ましい進歩を続けています。C型肝炎ウイルスに体内で直接作用して効果を発揮する内服薬(直接作動型抗ウイルス薬 Direct-acting antiviral agent: DAA)の登場によって、従来のインターフェロン治療が無効か、あるいは合併症などの問題でインターフェロン治療ができなかった方でも、内服治療によって高い確率でウイルスの排除が可能となっています。我々のグループでもC型肝炎ウイルスの遺伝子型や今までの治療の経過などによって、それぞれの患者さんに最適な内服薬による治療(インターフェロンを使わない治療)を積極的に行っています。

B型肝炎は体内から完全にウイルスを排除することは困難ですが、抗ウイルス薬によって体内のウイルス量を低下させ、肝炎の活動性を抑えることで、肝細胞癌の発生率を低下させることが可能です。最近になり治療薬の選択肢が広がり、従来の治療薬に対する耐性変異ウイルスに対しても対応できる様になっています。

ウイルス排除後のフォローアップ

抗ウイルス療法の進歩によって、特にC型肝炎では今まで治療が難しかったご高齢の患者様や、初期の肝硬変の患者様もウイルス排除が可能となってきています。ウイルスの排除によって肝細胞癌の発生率は低下しますが、残念ながらゼロにはならない事が知られています。このためウイルス排除後も継続的に超音波検査などを含む定期的検査が必要です。我々のグループでは体に負担をかけず肝臓の硬さ(肝硬度、肝疾患の進行度の目安となります)を測定するフィブロスキャンやMRエラストグラフィーなどの測定器も用いながら、ウイルスの排除を達成した後も、それぞれの患者様に応じた通院方法や検査間隔をご提案する様に努力しています。

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