「肝胆膵消化器病学」は横浜市立大学附属病院の消化器内科部門です

Clinical Gastroenterology and Hepatologyに論文が掲載されました。

2022-06-18

Tamaki N, Imajo K, Sharpton SR, Jung J, Sutter N, Kawamura N, Yoneda M,
Valasek MA, Behling C, Sirlin CB, Kurosaki M, Izumi N, Nakajima A, Loomba R.
Two-Step Strategy, FIB-4 Followed by Magnetic Resonance Elastography, for
Detecting Advanced Fibrosis in NAFLD. Clin Gastroenterol Hepatol. 2022 Feb
2:S1542-3565(22)00077-5. doi: 10.1016/j.cgh.2022.01.023. Epub ahead of print.
PMID: 35123096.

今城医師のコメント
『非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease : NAFLD)患者さんの一部は肝臓で線維化が進展し、肝硬変や肝細胞癌を発症することが知られています。ゆえに、このような患者さんに積極的に治療介入を行っていく必要がございます。現在、様々なNAFLD治療薬の治験が行われておりますが、対象となる患者さんはこのような線維化が強い患者さんです。しかしながら、現時点ではNAFLDの線維化を評価する方法は肝生検による病理学的診断に頼らざるを得ない状況です。近年では、MRエラストグラフィを用いることで肝生検を行わない患者さんも増えておりますが、MRエラストグラフィもコストや設備の問題で、NAFLD患者さん全てに行うわけにはいきません。ゆえに、効率よく線維化進展した患者さんを拾い上げる方法の開発が急務となっております。ここで我々は、University of California San Diego(UCSD)との共同研究により、簡便なスコアリングシステムであるFib4-indexを併用することで、治療適応のある線維化進行したNAFLD患者さん(Fibrosis stage>3)を効率的に、かつ非侵襲的に拾い上げられることを消化器病学の一流紙であるClinical Gastroenterology and Hepatology誌(Impact factor=11.4)に報告しております。本報告により、線維化進行例を拾い上げるためのコストが劇的に減らせる可能性があり、期待が高まっております。近い未来、NAFLD診断が大きく変わる可能性がございます。アメリカ屈指の名門、UCSDの一流研究者であり、アメリカで最も有名な肝臓医ともいえるRohit Loomba先生、そして我が国が誇る新進気鋭の若手肝臓内科医である、武蔵野赤十字病院の玉城先生とともに世の中の流れを変えるような研究に携われたことは一医療者として貴重な経験となります。このような素晴らしい国際共同研究の機会を与えていただきました中島淳教授はじめ、横浜市立大学肝胆膵消化器病学、新百合ヶ丘総合病院の諸先生方にこの場を借りて御礼申し上げます。』

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