「肝胆膵消化器病学」は横浜市立大学附属病院の消化器内科部門です

横浜市立大学附属病院 病院紹介(2020年度)

内科専攻医 海老澤佑

消化器内科を選んだ理由
明確に消化器内科を進路として考えたのは、研修医として肝胆膵消化器病学をローテートした時でした。やはり内科ではありますが、内視鏡はじめ、エコーや血管内治療など実際の手技が多いという特徴があり、学生時代にはできなかった、実際の手技経験を通して面白さや難しさに魅力を感じました。また、指導熱心な先生も多く内視鏡を含めた手技はもちろんのこと、臨床判断などに関しても熱心に指導していただけたことで当教室で研鑚を摘みたいと思うようになりました。 仕事内容に関しては内科の中でも内視鏡をはじめとした手技が多く、症例も急性期から慢性期まで幅広いことが特徴です。扱う疾患の特性や仕事量からスピード感を持って診断、治療を行なうことが必要になります。大変な仕事ですが、その分やりがいや充実感を味わえる点が消化器内科の良い点だと思います。

所属病院の消化器内科の特徴・雰囲気
大学病院ということで専門性が高いことが第一の特徴だと思います。大学病院では消化管グループ、肝臓グループ、胆膵グループの3グループに分かれて専門的診療を行なっています。専攻医も数ヶ月ごとにローテーションし、重点的に各分野の専門知識を学び、手技経験を積みます。専攻医では一般内科の知識を優先し、専門性の高い症例は必要ないと考える方も少なからずいると思いますが、学年が若いうちから、各分野のエキスパートから、手ほどきを受けることは今後の自身のキャリアの素地を作る上で大変重要だと思います。我流で経験を積んでいくのではなく、各分野の経験豊富な指導医から指導をいただけることはとても貴重な経験となっていると感じています。   福浦の地域、土地柄について
横浜市南部の工業地帯に位置しており、横浜駅までは電車で30分程度の距離です。近隣の横浜市南部や横須賀のかたが多いのですが、やはり専門治療を受けるために遠方から通院されている患者さんもいます。土地柄とは違いますが高度専門病院であるため、他院からの紹介されてくるかたや多診療科に関係する併存疾患、複雑な病態の方も多い印象です。

労働環境について
週5勤務が基本です。また当直は月にもよりますが、大学病院での休日の当直と平日の当直を1回ずつ行います。平日の勤務は外来診療のほか、内視鏡検査、内視鏡治療などの割り当てがあります。収入は大学病院からの給与と外勤先からの給与です。収入額としては関連病院の同期と比べても遜色なく、むしろ高い部類です。病院での宿舎などはなく、家賃補助もありませんが、普通に賃貸しても生活には全く困りません。工業地帯のため、周囲に飲食店や居住地が少なく、新杉田駅、金沢八景駅、横浜駅周辺から通勤している人が多いです。病棟はチームで診療しており、夜間に関しても当直医対応となるため、on-offの区別がはっきりと付けられます。



横浜市立大学附属病院における後期研修について

栗田 裕介(卒後4年目)

消化器内科器病領域は対象とする臓器が多く、また疾患も多岐にわたり、それらの診療で学ぶべき知識と検査・治療手技は膨大です。肝胆膵消化器病学では大学病院のほか、症例も多く高度医療が可能な地域の中核病院と協力し、重要な意味を持つと思われる消化器内科医の最初の3年間を、より有意義な研修期間となるよう指導に力を入れています。

主に附属病院での後期研修の内容を紹介させていただきます。

横浜市立大学附属病院は、横浜市南部地区の金沢区に位置し、横浜市唯一の特定機能病院として、高度先進医療を患者さんに提供し、また地域がん診療連携病院として地域におけるがん診療の中心的役割を担っています。そのような環境の中、後期研修医は消化管、胆膵、肝の各グループ、および希望により臨床腫瘍科をローテートすることを通じて、全領域について非常に高いレベルの医療を学ぶことができます。現行では6か月ごとのローテションとなりますが、希望に応じて期間を決めることは可能です。検査・治療手技も、後述のように件数も多く、また地域の病院ではあまり行われることのない手技を経験することも可能です。実際には外来、上部内視鏡、下部内視鏡など消化器内科医としてルーチンの検査を担当しながら所属する各グループでの予定に合わせて行動します。

各グループでの研修の実際について紹介させていただくと、消化管グループでは、上下部内視鏡検査は勿論ですが緊急内視鏡検査(止血処置、異物除去など)、イレウス管挿入など緊急処置は指導医のもと1stで担当することが可能です。またEMR、ESDなど高度な処置に関しても指導医のもと多数経験することが可能です。特に6か月間ローテートした場合、目安になりますが、緊急止血処置25件、イレウス管挿入10件、EMR50件程度は経験することが可能です。

肝グループでは劇症肝炎の集中治療や慢性肝疾患の管理、肝臓特有の多数の検査手技を扱っています。実際にはメインの立場でTACE70件、肝生検70件は行います。また肝生検を習熟してきた際には、RFAも安全な症例を選択しながら経験豊富な指導医のもと40病変程度は治療を行うことが可能です。

胆膵グループでは外科と連携しながら豊富なERCP、EUS症例を誇り、超音波内視鏡下インターベンションなど一般病院では中々経験できない検査手技も数多く行っています。特にERCPに関しては6か月間で術者50-70症例、助手150-200症例は経験可能です。

というように大学病院というと一般病院よりも検査手技があまり経験できないのでは、というイメージもあるかもしれませんが、上記のように豊富な症例を経験することが可能です。

また大学病院ということで、臨床経験を積む中で、症例報告、臨床研究を視野に入れながら研修を行っていただき、国内外の学会での発表、論文投稿を目指します。初めは自分で適切な演題を決められなくても指導医の先生方は様々な学会での発表にふさわしい症例や研究を示して頂けますし、抄録・スライド等の作成でも手厚く指導してもらえる機会が得られます。シニアレジデントの期間を大学院在籍期間と兼任することで、消化器内科医の専門医を目指しながら、それらの業績をもとに博士号の取得をすることも可能です。もちろん大変なこともありますが大学での研修では臨床、研究、飲み会?をはじめさまざまなことを経験できます。興味を持った方はぜひ一度見学にいらしてください。 

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