「肝胆膵消化器病学」は横浜市立大学附属病院の消化器内科部門です

留学体験記

鈴木章浩 (2010年 横浜市大卒)

留学先:東京大学先端科学技術研究センター ゲノムサイエンス分野
留学期間:2015年4月~2019年3月

施設紹介:
東京大学先端科学技術研究センターは、京王井の頭線の駒場東大前駅から徒歩10分の場所にある東京大学の附置研究所で、材料、情報、生物医化学、バリアフリー、社会科学、環境・エネルギーの6つをカテゴリーに、分野横断的に先端科学技術の新領域開拓を主な研究対象とする研究所です。ゲノムサイエンス分野(現在は、ゲノムサイエンス&メディシン分野)は生物医化学のカテゴリーに属します。

留学体験記:
2015年4月から2019年3月まで丸4年間お世話になりました。それまでは2012年4月から2015年3月まで茅ヶ崎市立病院で後期研修をしており、化学療法をする際に同じがん種でもレスポンスが異なることに疑問を持っていました。組織型によるところも大きいとは思いますが、ゲノムによるところも大きいことを知り、勉強したいと考えました。そんな中、当教室の中島教授からゲノムサイエンス分野の油谷教授をご紹介いただき、大学院を受験し合格して、国内留学をすることができました。

油谷教授はゲノム解析やエピゲノム解析において、日本では第一人者の一人です。油谷研究室では次世代シーケンサーを複数有しており、また解析には欠かせないインフォマティシャンも優秀な方が多く、疑問点はすぐに解決することが可能で、研究活動をするにはうってつけの場所でした。

私自身は、胃がんのゲノム解析の担当となり、研究していました。活動の内容としては、月曜午前に所属研究員が半年に1回程度、進捗状況をまとめ90分程度発表を行うprogress meetingと、木曜午前に週1回の進捗を発表するweekly meetingで週2回は濃密なディスカッションをしていました。このmeetingで叱咤激励を受け、自分自身も成長していったように思います。大学院3年目の中ころから成果をまとめ始め、4年目にNature communicationsに投稿しましたが、rejectとなりました。その後さらにブラッシュアップし、Science Advances(現在、インパクトファクター13点前後)に再投稿しました。先端研在学中にはacceptされませんでしたが、大学病院へ戻った大学院5年目になんとかacceptされ、6年前期で卒業することができました。2020年度大学院医学研究科最優秀論文賞のおまけまでついてきて、これまでやってきたことを誇りに思うこともできました。こんな素晴らしい機会を与えてくれた中島教授と油谷教授には感謝の言葉しかありません。

長い医師人生の中、基礎研究だけに専念する時期があってもよいと思います。その期間で、研究活動が生き甲斐になるならば、研究者の道として歩むことも可能と考えます。肝胆膵消化器病学教室は、臨床ももちろんですが、基礎研究のニーズがあれば、その希望を尊重し最大限のサポートしてくれる素敵な医局です。皆様も新たな一歩を当教室で踏み出すのはいかがでしょうか。

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