「肝胆膵消化器病学」は横浜市立大学附属病院の消化器内科部門です

Gut Microbes誌に論文が掲載されました

2020-06-11

吉原努医師の論文がGut Microbes誌に掲載されました

The protective effect of Bifidobacterium bifidum G9-1 against mucus degradation by Akkermansia muciniphila following small intestine injury caused by a proton pump inhibitor and aspirin Tsutomu Yoshihara, Yosuke Oikawa, Takayuki Kato, Takaomi Kessoku, Takashi Kobayashi, Shingo Kato, Noboru Misawa, Keiichi Ashikari, Akiko Fuyuki, Hidenori Ohkubo, Takuma Higurashi, Yoko Tateishi, Yoshiki Tanaka, Shunji Nakajima, Hiroshi Ohno, Koichiro Wada & Atsushi Nakajima Gut Microbes, 09 Jun 2020 DOI: 10.1080/19490976.2020.1758290

URL: https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/19490976.2020.1758290

吉原医師のコメント

ビオフェルミン製薬との共同研究で出させていただいた論文です。 心血管病予防に広く使われているアスピリンは、胃十二指腸潰瘍を起こすことが知られていますが、アスピリンを内服している患者さんの中には、原因不明の消化管出血を起こすことがあり、小腸カプセル内視鏡検査が普及した今では、アスピリンが小腸粘膜傷害を起こしていることがわかっています。 動物では、なかなかこのモデルを再現できませんでしたが、私たちの教室では食事に注目して、このモデルを作成しました。 胃十二指腸潰瘍の予防に、胃酸を抑えるプロトンポンプ阻害薬(PPI)がよく併用されていますが、本研究ではPPIが小腸粘膜傷害を悪化させ、その原因が Akkermansia muciniphila という細菌が関与していることを示しました。 プロバイオティクスとして市販されている、Bifidobacterium bifidum G9-1 という細菌は、PPIによって引き起こされる腸内細菌の乱れを是正し、小腸粘膜傷害を改善する効果を認めました。ヒトにおいてもこれらの効果があるか、今後の検討課題です。

ご指導いただいた中島淳教授をはじめとする横浜市立大学関係者の皆様、島根大学 和田教授、共同研究先であるビオフェルミン製薬関係者の皆様に感謝申し上げます。

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