「肝胆膵消化器病学」は横浜市立大学附属病院の消化器内科部門です

Clinical Gastroenterology and Hepatology誌に掲載

2020-12-28

今城健人医師の論文が Clinical Gastroenterology and Hepatology誌に掲載されました。

Direct comparison of US and MR elastography for staging liver fibrosis in patients with nonalcoholic fatty liver disease.
Imajo K, Honda Y, Kobayashi T, Nagai K, Ozaki A, Iwaki M, Kessoku T, Ogawa Y, Takahashi H, Saigusa Y, Yoneda M, Kirikoshi H, Utsunomiya D, Aishima S, Saito S, Nakajima A. Clin Gastroenterol Hepatol. 2020 Dec 16:S1542-3565(20)31673-6. doi: 10.1016/j.cgh.2020.12.016. Online ahead of print.
PMID: 33340780

URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33340780/

今城医師のコメント
近年、我が国でも急速に増加している非アルコール性脂肪肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease:NAFLD)/非アルコール性脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis:NASH)は一部の症例で肝線維化進展を生じるとともに肝細胞癌へ進展することが知られております。即ち、肝線維化進展を正確に把握することが重要とされております。これまでの肝線維化診断は肝生検がGold standardでありましたが、肝生検は侵襲的な検査であり繰り返しの施行は困難です。

そこで非侵襲的肝線維化診断法の確立が急務となっております。近年、超音波やMRIを用いて肝弾性度を測定するエラストグラフィが開発され、NAFLD/NASHを含め各肝疾患の線維化評価でその有用性が報告されております。当院でも超音波エラストグラフィであるvibration-controlled transient elastograpy (VCTE)、2D-shear wave elastography (2D-SWE)およびMRIを用いたエラストグラフィ(MR elastography; MRE)をいち早く導入しており、肝線維化診断に応用しております。今回の研究では、これまでなされていなかったVCTE、2D-SWEおよびMREのNAFLD/NASHにおける肝線維化診断能の直接比較を多数例での前向き比較試験により行っております。

結果としては、すべてのモダリティが各々の線維化ステージで優れた診断能を有しておりましたが、その中でもMREは肝硬変診断に特に優れ、かつ観察者内および観察者間変動(intra- and inter-observer reproducibility)も少ないことを示しております。しかしながら、超音波エラストグラフィも優れた診断能を有し、かつコストが安いなどのメリットもありますので、状況に応じた使い分けを行うべきと考えております。我々の研究により、今後のNAFLD/NASHの肝線維化診断は侵襲的な肝生検から非侵襲的な画像検査に移行していく可能性がございます。

最後に、本研究でご指導いただきました中島淳教授はじめ、ご助力頂きました共著者の先生方、当科の秘書様ならびに実験助手様へ心より感謝申し上げます。

↑ PAGE TOP