「肝胆膵消化器病学」は横浜市立大学附属病院の消化器内科部門です

Lancet Gastroenterology & Hepatology誌に掲載

2020-08-20

結束貴臣医師の論文がLancet Gastroenterology & Hepatology誌に掲載されました。

Lubiprostone in patients with non-alcoholic fatty liver disease: a randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 2a trial. Takaomi Kessoku,Kento Imajo,Takashi Kobayashi,Anna Ozaki,Michihiro Iwaki,Yasushi Honda,Takayuki Kato,Yuji Ogawa,Wataru Tomeno,Shingo Kato,Takuma Higurashi,Masato Yoneda,Hiroyuki Kirikoshi,Kazumi Kubota,Masataka Taguri,Takeharu Yamanaka,Haruki Usuda,Koichiro Wada,Noritoshi Kobayashi,Satoru Saito,Atsushi Nakajima. Lancet Gastroenterol Hepatol. 2020 Aug 14;S2468-1253(20)30216-8. doi: 10.1016/S2468-1253(20)30216-8.

URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32805205/

結束医師のコメント

非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は肝硬変や肝癌に進行するだけでなく肝外合併症として虚血性心疾患、大腸がん、乳がん等様々な病気のリスクと関係することが知られており、国際的に大きな問題となっています。 しかしながらNAFLDの特効薬は存在せず、ダイエットで患者さんに頑張っていただくというのが現状です。

本研究ではNAFLD治療に関して腸管透過性、いわゆる「腸管バリア機能」に着目しました。 NAFLD患者では腸管バリア機能が破綻しているため、腸内細菌が産生するエンドトキシン(毒素)が肝臓に流れ込みNAFLDを悪化させることが知られています。

便秘症治療薬ルビプロストンは腸管バリア機能を修復させることが報告されており、本研究ではNAFLD患者に投与することにより、プラセボ群と比較して肝脂肪量、肝硬度、肝機能マーカーなどが改善することを確認しました。

本研究の結果を受け、現在開発が進んでいるNAFLD治療のターゲットに腸管バリア機能の改善が新たな選択肢の一つとして加わる可能性があります。
ご指導いただきました中島教授はじめ、ご助力いただきました先生方へ心より感謝申し上げます。

なお、当教室ではNAFLD/NASHの診断と治療に力を入れています。 一見軽症に見える脂肪肝でも線維化が進行している場合がございます。 是非患者様のご紹介をお願いいたします。

また、当教室受診希望の患者様は紹介状をご持参いただけますと幸いです。

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