「肝胆膵消化器病学」は横浜市立大学附属病院の消化器内科部門です

Clinical Gastroenterology and Hepatology誌に掲載

2021-10-18

今城健人医師(現 新百合ヶ丘総合病院消化器内科部長)、中島淳教授らの多施設共同研究がClinical Gastroenterology and Hepatology誌(Impact factor=11.4)に掲載されました。

Andersson A, Kelly M, Imajo K, Nakajima A, Fallowfield JA, Hirschfield G, Pavlides M, Sanyal AJ, Noureddin M, Banerjee R, Dennis A, Harrison S.
Clinical utility of MRI biomarkers for identifying NASH patients' high risk of progression: A multi-center pooled data and meta-analysis.
Clin Gastroenterol Hepatol. 2021 Oct 6:S1542-3565(21)01056-9. doi: 10.1016/j.cgh.2021.09.041. Epub ahead of print. PMID: 34626833.
URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34626833/

今城医師のコメント
非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease : NAFLD)患者さんの一部は肝臓での病勢が強いため線維化進展し、肝硬変や肝細胞癌を発症することが知られています。ゆえに、このような患者さんに早期治療介入を行っていく必要がございます。現在、様々なNAFLD治療薬の治験が行われておりますが、対象となる患者さんはこのような病勢が強い患者さんです。現時点ではNAFLDの病勢を評価する方法は肝生検による病理学的診断に頼らざるを得ない状況です。しかしながら、肝生検は侵襲性が強くまたコストも高いという問題があるため、NAFLD患者さん全員に行うことはできません。ゆえに、治療の必要性の有無を評価可能な非侵襲的診断法の開発が急務となっております。ここで我々は、イギリスのPerspectum社との共同研究により、マルチパラメトリックMRIを用いたcorrected-T1(cT1)を用いることで病勢が強く治療適応のあるNAFLD患者さん(NAFLD activity score>4+Fibrosis stage>2)を非侵襲的に拾い上げられることを消化器病学の一流紙であるClinical Gastroenterology and Hepatology誌(Impact factor=11.4)に報告しております。本報告により、肝生検の代替方法として、cT1への期待が高まっております。近い未来、NAFLD診断が大きく変わる可能性がございます。イギリス屈指の名門、オックスフォード大学の一流研究者であるハリソン先生らとともに世の中の流れを変えるような研究に携われたことは一医療者として貴重な経験となります。このような素晴らしい国際共同研究の機会を与えていただきました中島淳教授はじめ、Perspectum社の皆様並びに横浜市立大学肝胆膵消化器病学の諸先生方にこの場を借りて御礼申し上げます。

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