「肝胆膵消化器病学」は横浜市立大学附属病院の消化器内科部門です

Alimentary Pharmacology & Therapeutics誌に掲載

2021-09-18

今城健人医師(関連施設 新百合ヶ丘総合病院部長)、米田正人医師、中島淳教授らの多施設共同研究がAlimentary Pharmacology & Therapeutics (APT) 誌(Impact factor=8.2)に掲載されました。

Randomised clinical trial: Pemafibrate, a novel selective peroxisome proliferator-activated receptor α modulator (SPPARMα), versus placebo in patients with non-alcoholic fatty liver disease
Atsushi Nakajima,Yuichiro Eguchi,Masato Yoneda,Kento Imajo,Nobuharu Tamaki,Hideki Suganami,Toshiaki Nojima,Ryohei Tanigawa,Masakazu Iizuka,Yuki Iida,Rohit Loomba.

URL: https://doi.org/10.1111/apt.16596

今城医師のコメント
非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease : NAFLD)に対する保険適応のある薬は未だございません。そのような中、我々は脂質異常症改善薬であり、選択的 PPARα モジュレーターであるペマフィブラートがNAFLD治療に有用であることを二重盲検プラセボ対照多施設RCT試験を行い報告しております。本検討では、NAFLDの非侵襲的診断法であるMRIにより得られる肝脂肪化および肝硬度の変化をエンドポイントとしております。これにより、ペマフィブラートがNAFLDの死因の筆頭になる心血管イベントのリスク因子である脂質異常症を改善するだけではなくNAFLDにおける肝障害や肝硬度を有意に改善することを消化病学の一流紙であるAlimentary Pharmacology & Therapeutics(APT)誌(Impact factor=8.2)に報告しております。本報告により、脂質異常症合併NAFLDにおけるペマフィブラート適応拡大への期待が高まっております。有効な治療法が確立されていない疾患に対する先進的治療に携われたことは一医療者として貴重な経験となります。このような機会を与えていただきました中島淳教授はじめ、興和製薬の皆様並びに横浜市立大学肝胆膵消化器病学の諸先生方、さらに本試験にご参加いただきました国内の22施設の先生方にこの場を借りて御礼申し上げます。
新百合ヶ丘総合病院消化器内科部長 今城健人

米田医師のコメント
非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease : NAFLD)は肥満人口や2型糖尿病罹患率の増加に伴い世界中で患者数が急増し,最多の肝疾患として認知されています。日本のみならず,米国のFood and Drug Administration(FDA)やヨーロッパのEuropean Medicines Agency(EMA)でもNAFLD治療薬はなく,その開発は急務と考えられています.2018年に選択的PPARαモジュレーターSPPARMAとして初となるペマフィブラートが開発され,その薬効機序からNAFLDに対する有用性が当初より期待されていました.当教室の中島淳主任教授の統括の下,NAFLDを対象とした第2相の臨床治験が行われ(Clinical Trials. gov: NCT03350165),この結果をAP&T誌で報告させていただくこととなりました。この臨床治験では横浜市立大学の臨床治験にかかわる多くの方のご協力をいただき,この場を借りて御礼申し上げます。
横浜市立大学肝胆膵消化器病学准教授 米田正人

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