春日医師の論文が『Pancreatology』に掲載されました
2023-06-27
春日範樹医師(横浜労災病院)の原著論文「Maintaining early diagnosis of pancreatic adenocarcinoma in Japan: Local resilience against COVID-19」が『Pancreatology』に掲載されました。
Maintaining early diagnosis of pancreatic adenocarcinoma in Japan: Local resilience against COVID-19
Noriki Kasuga, Yusuke Sekino, Takuya Takayanagi, Ken Ishii, Hajime Nagase, Yusuke Kurita, Atsushi Nakajima
Pancreatology. 2023 Jun 2;S1424-3903(23)00179-5.
doi: 10.1016/j.pan.2023.06.002.
LINK: https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1424390323001795?via%3Dihub
春日医師のコメント:
この度、COVID-19のパンデミックによって一時的に進行したステージで診断された膵癌患者が多くなったデータを基に、当院(横浜労災病院)で行われていた “膵臓がん早期診断プロジェクト“と称した地域連携の取り組みが、パンデミックによる膵癌診療への悪影響を最小限にしたことをまとめた論文が国際膵臓学会誌であるPancreatologyに採択されました。
“膵臓がん早期診断プロジェクト”は2019年より現部長である関野先生が発足された地域連携を軸とした取り組みで、膵疾患が疑われたより多くの患者様を地域開業医様よりご紹介いただき連携していくことでstage0-1の早期膵癌患者を少しでも多く診断していこうという試みです。私は2020年より横浜労災病院の胆膵グループに赴任させていただいておりますが、プロジェクトの効果を改めて調べてみたところ、発足以前はstage0-1の早期膵癌は年間1.7人の診断であったのに対し、発足以降は年間4.7人の早期診断に成功していることがわかり、大変驚愕したことを覚えております。
本検討にあたり労災機構の研究費を獲得することができ、また消化器学会で最大の日本消化器関連学会週間(JDDW)2022では若手奨励賞も受賞致しました。ご多忙にも関わらず本研究に直接ご指導いただいた横浜労災病院胆膵グループBOSSであられる関野先生をはじめ、当院の胆膵診療の臨床業務の中心を担いながらもデータベース作成にも協力いただいた胆膵お兄さんこと髙栁先生・石井先生、ありがとうございました!また私事ではございますが、論文投稿時には次女誕生という家庭的にも大変な時期にも関わらず、融通を利かせてもらった家族にはこの場をお借りして感謝申し上げます。
年々当院の膵癌患者は増加の一途を辿っており、臨床業務の大変さも同時に増しておりますが、膵臓がんの早期診断に成功した際の患者様の感謝の言葉に救われる日々です。今後も横浜市の胆膵診療に貢献できるよう精進して参りますので、どうぞよろしくお願い致します。