「肝胆膵消化器病学」は横浜市立大学附属病院の消化器内科部門です

永井医師が筆頭著者の論文がJGH Open.に掲載されました

2022-06-18

永井医師が筆頭著者の論文がJGH Open.に掲載されました

Nagai K, Ogawa Y, Kobayashi T, Iwaki M, Nogami A, Honda Y,
Kessoku T, Saigusa Y, Imajo K, Yoneda M, Kirikoshi H,
Komatsu T, Saito S, Nakajima A.
Gastroesophageal varices evaluation using spleen-dedicated
stiffness measurement by vibration-controlled transient
elastography. JGH Open. 2021 Dec
14;6(1):11-19. doi: 10.1002/jgh3.12689. PMID: 35071783; PMCID: PMC8762624.

永井医師のコメント
肝硬変などで門脈圧亢進症が進行すると、腹水、脾腫、肝性脳症などを発症します。さらに食道・胃静脈瘤の増大を来たし、それが破裂出血をすると、死に至る可能性があります。特に、破裂出血を来たし得るハイリスクの方は、予防するための治療が必要です。そのため、門脈圧亢進症の方は定期的に食道・胃静脈瘤の程度を調べる必要がありました。従来までは上部消化管内視鏡検査、カテーテル検査を行っておりましたが、どちらも侵襲的で、患者さんへの負担が大きく、非侵襲的な検査の必要性が挙げられておりました。近年、肝線維化評価の診断法として本邦で2011年から保険適応となっているエラストグラフィーを用いた、食道・胃静脈瘤の診断の有用性が報告されました。さらに、肝臓ではなく脾臓を測定することで、より優れた報告が挙げられております。しかし、脾臓は肝臓より硬いため、算出されるデータに限界があるとされておりました。そのため、脾臓専用に改良されたFibroscan630®が開発されました。本研究では、本邦初となるFibroscan630®を用いて、食道・胃静脈瘤の診断能を検討いたしました。
結果としては、Fibroscan630®を用いることで、診断能だけでなく、測定成功率や特異度も従来機種より優れたデータとなりました。特に出血ハイリスクの食道・胃静脈瘤の抽出に関しては、非常に優れた診断能を報告することが出来ました。多くの症例で、より正確に治療適応症例が絞り込め、破裂出血の予防に寄与できる可能性を示すことができました。
門脈圧亢進による臨床症状の出現を、非侵襲的な脾硬度測定により推測できる可能性を示したことで、今回の研究に限らず、門脈圧亢進症領域における進展の一助になれば幸いです。
エコセンス社の皆様、並びに御指導いただきました横浜市立大学肝胆膵消化器病学の諸先生方に、この場を借りて心より感謝申し上げます。

↑ PAGE TOP